多岐川舞子全曲集 石北本線

多岐川舞子 多岐川舞子全曲集 石北本線歌詞
1.石北本線

作詞:かず翼
作曲:徳久広司

未練という名の 傷あとを
連れて女の ひとり旅
北の都の 優佳良織(ゆうからおり)は
機(はた)の音さえ 哀しく響く
石北本線 終着駅を
探す私に 雪が降る

想い出捨てたい 橋の上
神居古潭(かむいこたん)の 冬の川
渡り鳥なら いつかは帰る
二度と戻らぬ 失くした恋は…
石北本線 夜更けの駅で
みんなあなたに 見える人影(かげ)

幾つの駅を 乗り継げば
あなた忘れる 春に着く
暗い窓辺に 別れの言葉
指でなぞれば レールが軋む
石北本線 旅路の果てに
明日の灯りが 見えますか


2.雪ほたる

作詞:土田有紀
作曲:岡千秋

肩で息して とび乗る夜汽車
純情たちきる ベルの音
夢の灯が かすんで千切れ 遠ざかる
吹雪の野づらを 遠ざかる
私…… 春を待てない 雪ほたる

いゝのよいゝのよ 嘘でもいゝの
嘘にすがって 生きられる
泣きじゃくる 温もり置いて 行くなんて
優しさ残して 行くなんて
私…… 春を待てない 雪ほたる

白い谷間の つらゝの宿は
北の情なし 風ばかり
ふり向けば さだめに生きる 冬木立
つらくはないのか 冬木立
私…… 春を待てない 雪ほたる


3.信濃川

作詞:かず翼
作曲:弦哲也

闇にひと声 夜汽車の汽笛
雪の平野を 遠ざかる
華を咲かせて 欲しいから
心で見送る あなたの背中
ひとり身を引く 悲しみを
泣いて流して 信濃川

もしもあなたに 夢などなけりゃ
後を追いたい すがりたい
今は別れが つらいけど
涙の先には 明日があるわ
いいの私を 忘れても
恋はひとすじ 信濃川

水に浮かんだ わくら葉さえも
ふたつ並んで 行くものを
頬を叩いて 吹く北風が
くじける私の 弱さを叱る
未練投げれば 渦を巻き
さだめ呑み込む 信濃川


4.飛騨の恋文

作詞:荒木とよひさ
作曲:徳久広司

駅舎(えき)に降りれば そこまで冬が
あなた忘れる 旅ひとり
飛騨の白河 夕暮れ橋で
書いた恋文(てがみ)を 千切ったら
あなたの心に 積るでしょうか…
涙まじりの ああ紙の雪

風にひと声 汽笛が絡む
肩に小指に この胸に
飛騨の細道 昨日を捨てに
いくつ足跡 残したら
あなたの想い出 消せるでしょうか…
未練ひきずる ああ恋の糸

紅葉(もみじ)灯りの 手摺(てすり)にもたれ
深いため息 またひとつ
飛騨の三日月 この手に取って
乳房(むね)の奥まで 剌したなら
あなたに抱かれて 死ねるでしょうか…
明日(あす)はいらない ああ月の宿


5.湖愁

作詞:たかたかし
作曲:市川昭介

青い湖 たそがれて
霧がしずかに 湖水をはしる
胸にさざ波 面影が
熱い涙と あふれくる
夢もちりぢり 旅の空

遠く流れる 浮雲を
ふたり見ていた 岸辺の小径
若い五月の そよ風を
たどれば白き 鈴蘭の
姿やさしい 思い出よ

窓にうつろう 三日月を
ひとり眺める 湖愁の宿よ
二度とかえらぬ 過ぎし日が
夜の静寂(しじま)に チクタクと…
古い時計の 淋しさよ


6.海峡終列車

作詞:かず翼
作曲:岡千秋

風に舞い散る 粉雪が
まつげで溶けて 涙をさそう
つれて行ってと すがった胸に
遠い海鳴り 聞くなんて…
バカね未練ごごろが 凍りつく
愛はまぼろし 海峡終列車

ベルが急かせて 閉まるドア
ふるえる指が あなたをなぞる
明日へ着けない 真冬の駅に
ひとり残して 行かないで…
バカね後ろ姿の 夢なのに
時刻(とき)を止めたい 海峡終列車

海に消えてく 窓灯り
思わず走る プラットホーム
呼んで戻らぬ ぬくもりならば
いっそ知らずに いたかった…
バカね女ごごろが 砕け散る
あなた返して 海峡終列車


7.紀の川慕情

作詞:水本忠男・補作詞:多野亮
作曲:花笠薫

人目忍んで 紀の川の
水の流れに すすり泣く
たとえ添えない 運命(さだめ)でも
甘えたいのよ あなたの胸で
いくら好きでも 焦がれても
情け通わす 舟がない

夢を浮かべた 紀の川の
瀬音悲しく 身にしみる
別れましょうと 言いながら
逢えばいつでも あなたが欲しい
添うて淋しい 仮の妻
流す人形 見え隠れ

逢瀬かさねた 紀の川の
旅の終わりが 加太(かだ)の海
忘れきれない 辛いのよ
倫にはずれた この恋だけど
いいの悔いなど ありません
女ごころの いく曲がり


8.幻海峡

作詞:吉田旺
作曲:徳久広司

おんな心の 真中あたり
みれん色した 海がある
おまえをきっと もらいにくると
ひとり海峡 越えたひと
待って焦れて
忍び泣きした 冬いくつ

津軽海峡 連絡船よ
どこへ消えたの あのひとと
あいつのことは きっぱり忘れ
次の倖せ 探せよと
ヒュルリ シュルシュル
潮風が頬ぶつ 北岬

卍巴(まんじともえ)と 舞いとぶ雪を
衝いて来るくる 十和田丸(とわだまる)
悲しい幻と 知りつつ闇を
涙ひきずり 追う霧笛
あなたおねがい
どうか私を 抱きにきて


9.夢織り酒場

作詞:里村龍一
作曲:伊藤雪彦

煙草の空箱 鶴に祈り
飛ばせば涙が あとを追う
想い出を いいことばかりの 想い出を
濃い目のお酒に 泳がせて
別れに泣いてる 別れに泣いてる
夢織り酒場

時雨が落葉に 沁みる夜は
恋しさばかりが 胸に降る
想い出が 捨てなきゃいけない 想い出が
こころの瞼に 焼きついて
酔うほど悲しい 酔うほど悲しい
夢織り酒場

倖せ一枚 いつ織れる
あなたを探して 鶴よ飛べ
想い出に きれない情けの 想い出に
未練が涙の 河になる
初雪舞い散る 初雪舞い散る
夢織り酒場


10.あなたの女

作詞:吉岡治
作曲:伊藤雪彦

おまえと一から出直すと
ちいさなわたしの肩を抱く
指でかくした男の涙
忘れない
夢でもいいわ 夢でもいいわ
きょうからわたしは あなたの女

ふたりの指輪はなくっても
こころに飾りが あればいい
逃げた夢なら あなたと捜し
生きてゆく
つまずかないわ つまずかないわ
きょうからわたしは あなたの女

つましい春でも ふたりなら
苦労を笑顔にかえられる
浮いて沈んで 見上げる街に
雨がふる
ふりむかないわ ふりむかないわ
きょうからわたしは あなたの女


11.一夜雨

作詞:里村龍一
作曲:伊藤雪彦

心がわりを 恨んでみても
雨が優しい 想い出泣かす
淋しさつのれば あなたが憎い
忘れるお酒 重ねるたびに
涙涙あと追う 未練の一夜雨

無理な夢だと 承知の上で
尽くし続けた 秋冬春と
拭きとる口紅 悲しさ残る
小雨にまじる 靴音ひとつ
夢の夢の中でも 探して眠れない

部屋の合鍵 グラスに投げて
今日で終りと 慕情を切るの
分かって下さい 私も辛い
他人の頃の 昔に戻る
女女なみだは 別れの一夜雨


12.鳴き砂海岸

作詞:かず翼
作曲:伊藤雪彦

愛にはぐれた 女の胸を
揺する海鳴り 夜明けのオホーツク
旅の終りは 北の果て
はずした指輪の 捨て場所と
決めた海岸 砂が鳴く
逢いたくて逢いたくて 砂が鳴く

冬の長さを 忍んで耐えて
咲いた黒百合 運命(さだめ)に生きる花
ひとり彷徨う 海風(かぜ)の中
さよならだけしか 聞こえない
淋しすぎると 砂が鳴く
恋しくて恋しくて 砂が鳴く

泣いてみたって 叫んでみても
明日がみえない 遥かなオホーツク
離さないよと 抱きしめた
やさしい言葉の 傷あとを
波が洗えば 砂が鳴く
逢いたくて逢いたくて 砂が鳴く


13.あなたひとりに

作詞:里村龍一
作曲:伊藤雪彦

好きであなたに 捧げた命
どこで散ろうと 悔はない
染めて下さい 好みの色に
寒い世間の 苦労も耐えて
あなたひとりに 生きてゆく 生きてゆく

遠く果てない あなたの道を
陰でささえて 歩きたい
遠慮しないで 私にだけは
夢の荷ぐるま あと押しながら
生きるしあわせ 見つけたい 見つけたい

辛さひと山 乗りきるたびに
春はそこまで 見えてくる
抱いて下さい 可愛い奴と
愛を一輪 こころに咲かせ
あなたひとりに 生きてゆく 生きてゆく


14.北の恋歌

作詞:吉田旺
作曲:徳久広司

北の港に 風花舞えば
みれんゆすって 海猫が哭く
さんさ時雨か 萱野の雨か…
逢いたいよ あゝゝ あんた
いいよ夢でも 逢いにきて

遠い眸をして 唄ってくれた
歌がせめての 置きみやげ
さんさふれふれ 五尺の袖を…
うらんでも あゝゝ あんた
うらみきれない いくじなし

もしもあたしが 死んだらあんた
目尻ぬらして くれますか
さんさ時雨か なごりの歌か…
逢いたいよ あゝゝ あんた
霧笛ひと声 北港


15.花道

作詞:里村龍一
作曲:市川昭介

いのち いのち男が 賭ける時
惚れて女は 花になる
望み一筋つらぬく道を
花で飾るも 女のつとめ 夢の土俵さ
東京は 命捨て身で ついてゆく

海で 海で育った 荒くれが
頭さげつつ 磨く牙
そばで見ている 私にゃわかる
奥歯かんでるでっかいあんた 情け涙の
東京で 苦労かさねて つかむ夢

故里を故里を出るとき 抱いてきた
意地があるから 明日がある
我慢二文字(がまんふたもじ)たすきにかけて
裏目つづきの世間を飛ばす 夢の土俵さ
東京は 風も吹くけど 花も咲く


16.あんたの海峡

作詞:土田有紀
作曲:岡千秋

男の愛が さめるから
女の未練が からみつく
さよならだけは 言わないで
走る桟橋 連絡船は出る
霧笛よ泣くな ぐずれば逢いたい
あんた あんた あんたの海峡

背中をなでて 詫びた男
許せはしないと 目に涙
消された夢に すがるのは
怨みごころの 裏返し
霧笛よ泣くな ぐずれば逢いたい
あんた あんた あんたの海峡

お酒が強く なったのは
飲まなきゃ 夜明けが遠いから
こゞえる命 抱きしめて
せめてキリリと 紅をさす
霧笛よ泣くな くずれば逢いたい
あんた あんた あんたの海峡